織女に(凡河内みつね)

短歌 に関する記事

織女に かしつる糸の 打ちはへて
年のをながく こひやわたらむ 凡河内みつね

■ 訳

織姫にお供えした糸のようにずっと長く、長い間、恋し続けることができるだろうか。

■ 解説

「織女(たなばた)」は七夕伝説の織姫、「かしつる糸」はお供えした糸(昔、七夕の夜には織物の女神である織姫に糸巻をお供えして裁縫技術の向上を願う風習がありました)、「打ちはへ」はずっと長く、「年のを(年の緒)」は年月が長く続くことを紐に例える言葉、「わたらむ」(年月を)過ごすことができるだろうか(推量)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第四巻(秋歌上 180首目)に収録されています。
題に「なぬかの日の夜よめる」とあり、旧暦7月7日に詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)で、三十六歌仙の一人、古今和歌集の撰者の一人です。

「打ちはへ」、「年のを」、「ながく」のいずれも長さを指しますが、これは類義累積的な反復表現と思われます。

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: