今はとて(源むねゆきの朝臣)

短歌 に関する記事

今はとて わかるる時は 天河
わたらぬさきに そでぞひちぬる 源むねゆきの朝臣

■ 訳

今はもう(貴女と)別れねばならない時だが、天の川を渡る前に(涙で)袖は濡れてしまった。

■ 解説

「今はとて」は今はもう、「わかるる時」は(織姫と彦星が)別れる時、「ひちぬる」は濡れる、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第四巻(秋歌上 182首目)に収録されています。
「なぬかの夜のあかつきによめる」((旧暦)7月7日の夜、明け方に詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は源宗于(みなもとのむねゆき)で、三十六歌仙の一人です。 小倉百人一首では28首目 「山里は 冬ぞ寂しさ まさりける…」が選歌されています。

これから天の川を渡らなければならないのは彦星になるため、この詩は彦星を代弁したもののように思われますが、「あかつきによめる」と書かれていることから、逢瀬の帰りに女性に遣わせた詩かもしれません。

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