早苗とる(松尾芭蕉)

俳句 に関する記事

早苗とる 手もとや昔 しのぶ摺 松尾芭蕉

■ 訳

早苗を取っている手元を見ていると、昔行われていた信夫捩ぢ摺りの手つきを彷彿とさせて偲ばれるよ。

■ 解説

「しのぶ摺(しのぶずり)」は信夫捩ぢ摺り、を意味します。
季語は「早苗」で夏です。

■ この詩が詠まれた背景

この句はおくのほそ道、「忍ぶの里」の中で芭蕉が詠んだ俳句です。
前回の須賀川から、あさか山に行った後の出来事です。
おくのほそ道には、「あくれば、しのぶもぢ摺の石を尋て忍ぶのさとに行。遥山陰の小里に石半土に埋てあり。里の童部の来りて教ける。昔は此山の上に侍しを往来の人の麦草をあらして此石を試侍をにくみて此谷につき落せば、石の面下ざまにふしたりと云。さもあるべき事にや。
(本俳句)」
(次の日、信夫捩ぢ摺りの石を訪ねるために信夫の里に行った。遥かな山の影に小さな里があり、石は半分埋まっていた。里の子供がやって来て、事の経緯を教えてくれた。
昔はこの山の上に据えられていたのを、往来する人が里の麦を荒らしてこの石に擦り付けて試そうとするのを嫌い、谷に突き落としたところ、石の面が下になってしまったのです、と。
そのようなこともあるものなのか。
(本俳句))とあります。

■ 豆知識

作者は松尾芭蕉です。
信夫捩ぢ摺りは、源融(みなもとのとおる)の「みちのくの しのぶもぢずり たれゆえに…」に詠まれています。

源融に所縁のある文知摺石は別名鏡石とも呼ばれ、源融と虎女(とらめ)の悲恋物語に登場しています。
実際に染物に使用する石は綾形石(あやがたいし)と呼ばれています。

信夫捩ぢ摺りについては、再現を試みている方がいらっしゃるようです

■ 関連地図

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