古の(高市黒人)

短歌 に関する記事

古の 人に我れあれや 楽浪の
古き都を 見れば悲しき 高市黒人

■ 訳

私は以前の様子を知っているので、さざ波の立つ(現在の)旧都(近江宮)を見ると、心が痛みます。

■ 解説

「古の 人(いにしへのひと)」は古い人(過去の様子を知る人)、「楽浪(さざなみ)の 古き都」はさざなみの立つ古い都(ここでは場所を特定するために使用されており、近江宮を指します)、「悲しき」は心が痛む、悲しい、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第一巻(雜歌 32首目)に収録されています。
この詩は前回、柿本人麻呂が詠んだ詩と同様に廃墟となった近江宮を詠んだ詩です。
題に「高市古人感傷近江舊堵作歌 或書云高市連黒人」(高市古人が近江宮の古い垣根に心を痛めて作った歌 ある書では高市連黒人とある)と書かれています。
なお、名前としては高市黒人の方が正しいようです。

■ 豆知識

作者は高市黒人(たけちのくろひと)で、飛鳥時代の下級官吏、歌人です。
高市県主(あがたぬし)の一族で、天孫である天津彦根の子孫とされ、後に連(むらじ)姓に改姓しています。

連姓は皇室以外の天孫に付けられることが多く、皇族との結びつきも強いとされています。
例えば、軍事を担っていた大伴氏や物部氏は連姓に改姓しており、有力な地方豪族であった蘇我氏や紀氏は臣(おみ)姓に改姓しています。

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