おちそむる(入道二品親王法守)

短歌 に関する記事

おちそむる 桐の一葉の 聲のうちに
秋の哀を 聞き始めぬる 入道二品親王法守

■ 訳

桐の木の葉が紅葉して落ち始めた。
その一枚が落ちる様子に、秋のもの悲しさを感じさせるよ。

■ 解説

「おちそむる」は落ち始める(”そむる”は”染むる”(紅葉)と掛けていると思われます)、「聲のうちに(こえのうちに)」は響く中で(”うちに(裡に)”は物事の行われる状況を示します。”聲”は実際に音を立てている様子というわけではなく、心象的なイメージと思われます。)、「秋の哀を(あきのあはれを)」は秋のもの悲しさを、「聞き始めぬる」は(感覚的に)感じ始める、をそれぞれ意味します。
”聲”と”聞き”はそれぞれ別の物を指していますが、全体を通すことで一体感を感じさせています。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は風雅和歌集 第五巻(秋歌上)に収録されています。
題は「秋の歌とて」とあります。

■ 豆知識

作者は法守法親王(ほうしゅにゅうどうしんのう)で、後伏見天皇の皇子です。
仁和寺門跡、第15世に列せられています。

父である後伏見天皇は能筆で知られており、その影響もあってか法守法親王もまた能筆で、真光院切といった古筆切が残されています。

■ 関連地図

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: