棚ばたの(能因法師)

短歌 に関する記事

棚ばたの 苔の衣を 厭はずば
人なみなみに かしも志てまし 能因法師

■ 訳

七夕は、(出家して独り身の私の)僧衣(を着るのは辛いよ)。
もし(出家していなければ)人並みに(気軽に衣を)貸せたろうのに。

■ 解説

「棚ばたの(たなばたの)」は七夕の(日)、「苔の衣(こけのころも)」は僧衣、「厭はずば(いとはずば)」は出家していなければ(”厭う”は嫌になるの意味も含まれます)、「人なみなみに」は人並みに、「かしも志てまし(かしもしてまし)」は貸せたろうに(”まし”はもし〜だったら〜だろうに)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は金葉和歌集 第三巻(秋歌)に収録されています。
題に「七夕の心をよめる」とあります。

■ 豆知識

作者は能因(のういん)で中古三十六歌仙の一人です。
小倉百人一首では69首目、「嵐吹く…」が選歌されています。

この詩は恋人が出会う日である七夕と出家して独り身である能因法師を対比させて詠まれた詩と思われます。
現代風にすれば、バレンタインやクリスマスが相当しそうです。

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