都をば(能因)

短歌 に関する記事

都をば 霞とともに 立ちしかど
秋風ぞ吹く 白河の関 能因法師

■ 訳

京を春霞と共に出発したが、白河の関に到着した頃には、秋風が吹いていたよ。

■ 解説

「都」は平安京、「霞(かすみ)」は春霞、「立ちしかど」は立った時、「白河の関(しらかわのせき)」はかつて福島県白河市旗宿にあった白河の関、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は後拾遺和歌集 第九巻(覊旅)に収録されています。
題に「みちのくにゝまかり下りけるに白川の關にてよみ侍りける」(陸奥国に下向する際に、白河の関で詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は能因(のういん)で、中古三十六歌仙の一人です。
小倉百人一首では69首目、「嵐吹く…」が選歌されています。

この詩について、十訓抄や古今著聞集に書かれた説話には、この詩が陸奥ではなく都で詠んだ詩だったが、風流に欠けるので自宅に引きこもって姿を隠しつつ日焼けし、陸奥に下向したのだと噂が立った頃にひょっこり現れてこの詩を詠んだ、との記述があります。
なお、勅撰和歌集である後拾遺集に記されている題から、本当に陸奥に行ったのは間違いないと思われます。

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