秋の夜の(としゆきの朝臣)

短歌 に関する記事

秋の夜の あくるもしらず なくむしは
わがごと物や かなしかるらむ としゆきの朝臣

■ 訳

秋の長い夜、その夜が明けたことも知らず鳴いている虫たち(の声を聞くと)、どうして自分の事のように悲しいのだろう。

■ 解説

「あくるもしらず(明くるも知らず)」は(夜が)明けたことも知らないで、「かなしかるらむ(悲しかるらむ)」はどうして悲しいのだろう(原因の推量)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第四巻(秋歌上 197首目)に収録されています。
題に「これさだのみこの家の哥合のうた」とあることから、是貞親王歌合(これさだのみこのいえのうたあわせ)で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は藤原敏行(ふじわらのとしゆき)で、三十六歌仙の1人です。
小倉百人一首では18首目、「住の江の…」が入集しています。
能書家として知られ、現存する三絶の鐘は国宝に指定されています。

宇治拾遺物語、巻第八 102段「敏行朝臣の事」に、不浄の身で写経したため、地獄に落ちて苦しんだと記されています。

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: