草枯れて(伏見院新宰相)

短歌 に関する記事

草枯れて 寂しかるべき 庭の面に
紅葉散敷き 菊も咲きけり 伏見院新宰相

■ 訳

(冬になって、)草は枯れてしまい物悲しいと思っていた庭は、紅葉した落ち葉が一面に敷かれ、(華やかな)菊も咲いたのですよ。

■ 解説

「寂しかるべき(さびしかるべき)」は寂しいと思っていた、「咲きけり(さきけり)」は咲いたのだなぁ(詠嘆)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は風雅和歌集 第八巻(冬歌)に収録されています。
題は「初冬の歌に」とあります。

■ 豆知識

作者は伏見院新宰相(ふしみいんのしんさいしょう)で、藤原親忠(ふじわらのちかただ)の娘、第92代天皇である伏見天皇に仕えた女官です。
伏見天皇が皇太子であった頃から出仕しており、天皇が崩御された時、殉じて出家しています。

伏見院新宰相は京極為兼が持明院統で作り上げた流派である京極派の歌人で、京極派の歌人が編纂した玉葉和歌集、風雅和歌集に10首ずつほど入集しています。
勿論、当時の時代背景を考えると政治的な思惑もあったのでしょうが、大覚寺統である後宇多天皇が編纂を命じた続千載和歌集にも3首入集している事から、高く評価されていたのは間違いありません。

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