昨日こそ(大納言公實)

短歌 に関する記事

昨日こそ 秋はくれしか いつの間に
岩まの水の 薄氷るらむ 大納言公實

■ 訳

昨日秋が終わったのか、いつの間にか岩と岩の間の水に薄い氷が張っていたよ。

■ 解説

「昨日こそ 秋はくれしか(暮れしか)」は昨日秋が終わったのか(”こそ〜しか”は係り結び、”くれ(暮れ)”は(年や季節が)終わる)、「薄氷る(うすらひる)」は薄く氷がはる、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は千載和歌集 第六巻(冬歌)に収録されています。
題に「堀川院の御時百首の歌奉りける時初冬の心をよみ侍りける」(堀河百首(康和4 (1102) 〜5年頃行われた歌合)で歌を(堀河上皇に)奉る際に初冬の心を詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は藤原公実(ふじわらのきんざね)で、三条家(三条実行)、西園寺家(西園寺通季)、徳大寺家(徳大寺実能)の祖です。
政治家としてだけでなく歌人としても活躍し、勅撰和歌集には57首が入集しています。

公実は白河天皇とは従兄弟、鳥羽天皇は甥という関係にあり、また妻である藤原光子(ふじわらのみつこ)は堀河・鳥羽両天皇の乳母であったこともあり政界での発言力も大きく、子供たちの出世にも影響を与えたようです。

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