冬ながら(きよはらのふかやぶ)

短歌 に関する記事

冬ながら そらより花の ちりくるは
雲のあなたは 春にやあるらむ きよはらのふかやぶ

■ 訳

冬なのに空から(雪の)花が降ってくるのは、雲の向こうが春だからだろうか。

■ 解説

「冬ながら」は冬なのに、「雲のあなた(くもの彼方)」は雲の向こう側、「春にやあるらむ」は春だからだろうか、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第六巻(冬歌 330首目)に収録されています。
題に「雪のふれるを見てよめる」(雪が降っている様子を見て詠んだ)とあります。

■ 豆知識

作者は清原深養父(きよはらのふかやぶ)で、中古三十六歌仙です。
官位こそ従五位下と低かったのですが、勅撰和歌集には全部で41首、古今和歌集には17首(古今和歌集の作者別で8番目に多い数です)も入集しています。
なお、小倉百人一首には36番目「夏の夜は…」が選歌されています。

深養父の子孫は文才に恵まれており、孫である清原元輔(きよはらのもとすけ)、ひ孫である清少納言(せいしょうなごん)もまた歌人、随筆家として名を残しています。
ちなみに、元輔の詠んだ「契りきな…」、清少納言の詠んだ「夜をこめて…」は、共に小倉百人一首に選歌されています。

家系図に記されている内容から、奥州藤原氏の祖先にあたる人物が深養父と兄弟であったようです。
但し、出典により深養父の子が元輔であったり、深養父の父が房則であったり海雄であったり通雄であったりするなど、ブレがあるため信頼できるかどうかは不明です。

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