まゆはきを(松尾芭蕉)

俳句 に関する記事

まゆはきを 俤にして 紅粉の花 松尾芭蕉

■ 訳

辺り一面に咲き誇るベニバナを見ると、眉掃きを(使う女性の姿)が浮かび上がってくるよ。

■ 解説

「まゆはき(眉掃き)」は白粉をつけた後で眉を払うのに使った小さな刷毛のこと、「俤(おもかげ)」は情景、「紅粉の花(べにのはな)」はベニバナ、を意味します。
季語は「紅粉の花」で夏です。

■ この詩が詠まれた背景

この句はおくのほそ道、「尾花沢(おばなざわ)」の中で芭蕉が詠んだ俳句で、前回の続きです。

ベニバナは芭蕉がお世話になった清風の主業務であったため、ベニバナの畑が一面に広がっていたことが想像できます。
ベニバナの開花時期は5月中旬から7月の終わりまでなので、芭蕉が清風の屋敷に赴いた時期は一面に花が咲いて見頃だったのではないでしょうか。

■ 豆知識

作者は松尾芭蕉です。

清風の屋敷があった山形県ではベニバナが県花に指定されています。
ベニバナの花の色は、紅変化した花も稀に見られますが、通常は黄色です。
染料として使う際には乾燥、発酵させて、紅色の成分を分離させて使います。
乾燥させた紅花は漢方薬としても使用され、種子からは油を抽出してサラダ油(マーガリンの原料)としても用いられます。

ベニバナは元々エジプト原産の花で、日本に渡ったのは4〜5世紀頃だそうです。
奈良県生駒郡斑鳩町にある6世紀後半に作られた藤ノ木古墳(ふじのきこふん)の棺から真っ赤な布に包まれた遺体とベニバナの花粉が見つかっており、染料以外としても用いられた形跡があったことが知られています。

■ 関連地図

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