楸生る(曾禰好忠)

短歌 に関する記事

楸生る 澤邊の茅ばら 冬くれば
雲雀の床ぞ あらはれにける 曾禰好忠

■ 訳

ヒサギの実が生っていた沢、そのほとりにあるススキが生えていた原っぱも、冬になった今では(すっかり枯れ果ててしまって)ヒバリの寝床まで見られたよ。

■ 解説

「楸生る(ひさぎなる)」はヒサギ(現在のアカメガシワを指しますが、キササゲを指す場合もあります)、「澤邊(さわべ)」は沢のほとり、「茅ばら(かや原)」はススキやチガヤの生える野原、「雲雀(ひばり)」はひばり(スズメ目ヒバリ科ヒバリ属の鳥類)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は詞花和歌集 第四巻(冬)に収録されています。
「題志らず」とあるため詳細は分かりません。

■ 豆知識

作者は曾禰好忠(そねのよしただ:曽禰好忠とも書かれます)で、中古三十六歌仙の一人です。
小倉百人一首では46首目、「由良のとを…」が選歌されています。

ヒサギ(アカメガシワ)は秋(9〜10月頃)に熟して黒い実を付けます。
秋に確かにあった情景を詠みつつ、”ける”という過去の助動詞を用いることで現在(冬)の情景を詠んだ詩となっています。

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