色々に(左衛門督家成)

短歌 に関する記事

色々に そむるしぐれに 紅葉は
爭ひかねて ちりはてにけり 左衛門督家成

■ 訳

紅葉して様々な色に染まった葉とそれに降りつける時雨。
紅葉した葉は時雨との争いに敗れて散ってしまったよ。

■ 解説

「爭ひかねて(あらそひかねて)」は争いに耐えられなくて、を意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第四巻(冬)に収録されています。
「題志らず」とあるため詳細は分かりません。

■ 豆知識

作者は藤原家成(ふじわらのいえなり)で、平安時代末期の公家です。
鳥羽院の下、従妹である美福門院(びふくもんいん)こと藤原得子(ふじわらのなりこ)が寵愛を受けたことから権力を手に入れ、多くの荘園を築いて経済的にも大躍進しました。
その権勢は源師時(みなもとのもろとき)が書いた日記である長秋記に「天下の事,一向に家成に帰す」と書かれています。

家成は藤原忠実(ふじわらのただざね)と親交があったのですが、忠実の息子である藤原頼長(ふじわらのよりなが)は家成を警戒しており、家成の従者同士の争いを口実に邸宅を襲撃、破壊されます。
その凶行は後の保元の乱の引き金となりました。

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