春霞(紀文幹)

短歌 に関する記事

春霞 立てるをみれば あら玉の
年は山より 越ゆるなりけり 紀文幹

■ 訳

春霞が立っているのを見ると、新年になるというのは山を越えてやってくるものなのだなぁ。

■ 解説

「あら玉の(新たまの)」は”年”に掛る枕詞(掛る理由は不明ですが、一説に”改まる”からともされます)、を意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は拾遺和歌集 第一巻(春歌)に収録されています。
題に「承平四年中宮の賀し侍りける時の屏風の歌」(934年の中宮(藤原穏子)に(五十賀の)祝いの言葉を述べた際の屏風歌)とあります。

■ 豆知識

作者は紀文幹(きのふみもと)で、参議を勤めた紀淑光(きのよしみつ)の子です。
日本記略、及び扶桑略記によると、天慶七年(944年)九月二日辛未に信濃守として下向しましたが、当日に暴風雨で建物が倒壊し、巻き込まれて圧死して亡くなっています。
兄の紀文利(きのふみとし)は内裏歌合で活躍しました。

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