谷風に(源まさずみ)

短歌 に関する記事

谷風に とくるこほりの ひまごとに
うちいづる浪や 春のはつ花 源まさずみ

■ 訳

谷間から吹いてくる(暖かな)春風によって融ける氷。
その隙間ごとに(水滴が滴り落ちて)現れる波こそ、春一番に咲く花だろうか。

■ 解説

「とくるこほり(融くる氷)」は融ける氷、「ひまごとに(隙毎に)」は隙間それぞれに、「うちいづる浪(打ち出づるなみ)」は現れる波、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第一巻(春歌上 12首目)に収録されています。
題に「寛平御時きさいの宮のうたあはせのうた」(寛平御時后宮歌合で詠まれた詩)とあります。

■ 豆知識

作者は源当純(みなもとのまさずみ)で、文徳源氏です。
延喜3年(903年)には少納言に任ぜられており、延喜7年(907年)には従五位上に叙せられています。
父は右大臣、源能有(みなもとのよしあり)、兄は中納言、源当時(みなもとのまさとき)です。

文徳源氏とは第55代天皇である文徳天皇の皇子を祖とする源氏です。
父である能有は文徳天皇の皇太子で、特に繁栄したため、一般に文徳源氏というと能有の子孫を指しますが、能有孫や源能有流といった表現を使うケースもあります。

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