けふしもあれ(紀貫之)

短歌 に関する記事

けふしもあれ み雪しふれば 草も木も
春てふなべに 花ぞ咲ける 紀貫之

■ 訳

今日以外の日もあるというのに、立春という日に雪が降ると、草も木も(まるで雪の)花が咲いたようだよ。

■ 解説

「けふしもあれ(今日しもあれ)」は今日以外の日もあるだろうに(”しもあれ”は全く〜もあるのに)、「春てふなべに(はるてふなべに)」は春というちょうどその時に(”てふ”はちょうど、”なべ”は〜するその時)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新勅撰和歌集 第一巻(春)に収録されています。
題に「延喜七年三月内の御屏風に元日雪ふれる日」(延喜七年(907年)三月中(に行われた)屏風歌として元日に雪が降った日(というお題で))とあります。

■ 豆知識

作者は紀貫之(きのつらゆき)で三十六歌仙の一人、土佐日記の作者、古今和歌集の撰者の一人として知られています。
小倉百人一首では35首目、「人はいさ…」が選歌されています。

屏風歌とは、屏風絵の主題に合わせて詠んだ詩です。
屏風は中国、漢の時代には既に存在していることが確認されており、日本書紀に、朱鳥元年(686年)夏四月庚午朔丁丑に新羅から贈られた品として「金銀霞錦綾羅金器屏風鞍皮絹布藥物之類」との記述があり、これが文献に登場する初の屏風となります。

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