冬過ぎて(讀人志らず)

短歌 に関する記事

冬過ぎて 春はきぬらし あさ日さす
春日の山に 霞たなびく 讀人志らず

■ 訳

冬が終わって春がやってきたようだ。
朝日が差す春日山には春霞が漂っているよ。

■ 解説

「きぬらし(来ぬらし)」は来たようだ、「春日の山(かすがのやま)」は奈良県奈良市にある山(歌枕)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新勅撰和歌集 第一巻(春)、万葉集 第十巻 1844首目に収録されています。
新勅撰和歌集では「題志らず」、万葉集では「詠霞(霞を詠んだ)」とあります。

■ 豆知識

「よみ人しらず」とあるため、作者は分かりません。

この詩とよく似た詩を持統天皇が詠まれています。
小倉百人一首にも選ばれた、
「春過ぎて 夏きにけらし しろたへの ころも干すてふ あまのかぐやま」
です。
この詩では情景を素直に読んでいますが、持統天皇が詠まれた詩は「しろたへの ころも干すてふ」と、山に架かる雲の様子を白妙(白い布)であるかのように詠んでいます。

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