久かたの(讀人志らず)

短歌 に関する記事

久かたの 天のかぐ山 このゆふべ
霞たなびく 春たつらしも 讀人志らず

■ 訳

天香久山に夕暮れ時、霞が漂っていたよ。
きっと春になったのだなぁ。

■ 解説

「久かたの(ひさ方の)」は”天”に掛る枕詞、「天のかぐ山(あまの香久やま)」は奈良県橿原市にある山(歌枕)、「春たつらしも(はる立つらしも)」はきっと春になったんだなぁ(”らし”はきっと〜らしい、”も”は詠嘆)をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は新勅撰和歌集 第一巻(春歌上)、万葉集 第十巻 (春雜歌 1812首目)に収録されています。
新勅撰和歌集では「題志らず」、万葉集では「春雜歌」となっています。
また、万葉集では左注として「右柿本朝臣人麻呂歌集出」とあるため、柿本人麻呂作かもしれません。

■ 豆知識

「よみ人しらず」とあるため、作者は不明です。
万葉集に書かれている注釈が正しければ、柿本人麻呂が詠んだ詩かもしれません。

この詩で詠まれた天香久山は大和三山の一つで標高152mの小山です。
この山で採れる粘土質の土には呪力が宿っているとされ、古代には儀式用の土器や埴輪などが作られており、畝尾坐健土安神社という土の神(武埴安彦命(たけはにやすひこのみこと))を祀る神社が造営されています。

■ 関連地図

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