花のかを(紀とものり)

短歌 に関する記事

花のかを 風のたよりに たぐへてぞ
鶯さそふ しるべにはやる 紀とものり

■ 訳

春風とその風に乗って香る梅の花の匂いを(一緒に)送ったら、その知らせに誘われたウグイスは夢中になるよ。

■ 解説

「花のか(はなの香)」はここでは梅の花の香り、「たより(便り)」は知らせ、手紙、「たぐへて(類へて)」は一緒に、「しるべにはやる(知る辺に逸る)」は(道の)案内に夢中になる、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第一巻(春歌上 13首目)に収録されています。
題に「寛平御時きさいの宮のうたあはせのうた」(寛平御時后宮歌合で詠まれた詩)とあります。

■ 豆知識

作者は紀友則(きのとものり)で、三十六歌仙の一人、古今和歌集の撰者の一人です。
小倉百人一首では33首目、「ひさかたの…」が選歌されています。

この和歌は「たより」、「はやる」といった表現が使われており、ウグイスを擬人化して詠まれた詩です。
もっとも、気持ちが「はや」っているのはウグイスの来訪を心待ちしている家の主人の方かもしれません。

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