春たてど(在原棟梁)

短歌 に関する記事

春たてど 花もにほはぬ 山ざとは
ものうかるねに 鶯ぞなく 在原棟梁

■ 訳

(暦の上では)春になったのに(梅の)花の香りもしない山里では、ウグイスもなんとなく億劫そうな声で鳴いているよ。

■ 解説

「ものうかるねに(物憂かる音に)」はなんとなく億劫そうな声で、を意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は古今和歌集 第一巻(春歌上 15首目)に収録されています。
題に「寛平御時きさいの宮のうたあはせのうた」(寛平御時后宮歌合で詠まれた詩)とあります。

■ 豆知識

作者は在原棟梁(ありわらのむねやな(”むねはり”と読まれる場合もあります))で、中古三十六歌仙の一人です。
父は六歌仙・三十六歌仙の一人であり、伊勢物語の主人公ともいわれる在原業平(ありわらのなりひら)、息子は棟梁と同じく中古三十六歌仙の一人である在原元方(ありわらのもとかた)です。
ちなみに、業平の詠んだ詩は小倉百人一首、17首目に「ちはやぶる…」が、元方の詠んだ詩は古今和歌集、1首目に「としのうちに…」がそれぞれ載せられています。

棟梁は仁和2年(886年)に左兵衛佐、寛平8年(896年)に左衛門佐と武官を歴任しており、昌泰元年(898年)には筑前守となっていることが記録として残されています。

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