藤原の(よみ人しらず)

短歌 に関する記事

藤原の 大宮仕へ 生れ付くや
娘子がともは 羨しきろかも よみ人しらず

■ 訳

(新都)藤原宮にこれから仕えるために生まれた娘たちは何とも羨ましいことだ。

■ 解説

「ふぢはらの」は藤原京、「大宮仕へ(おほみやづかへ)」は宮廷に仕えること、「娘子がともは(をとめがともは)」は若い女性たちは(”とも”は集団を指します)、「羨しきろかも(ともしきろかも)」はうらやましいなあ(”ろかも”は間投助詞で感動を表す上代語)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第一巻(雜歌 53首目)に収録されています。
題に「藤原宮御井歌」(藤原宮の御井の歌)と書かれており、前回の反歌です。

■ 豆知識

作者は不明です。
万葉集(西本願寺版)には「右歌作者未詳」と注釈があり、誰が詠んだものなのか分かっていません。

この和歌では上代語が使われていますが、上代とは飛鳥時代から奈良時代(通常は単に奈良時代以前)を指す言葉です。
ちなみに上代に使われた特殊な仮名遣いを「上代特殊仮名遣」といい、江戸時代の国学者である本居宣長とその弟子である石塚龍麿によって研究が行われ、同じ音を指す仮名でも万葉仮名の使い分けが行われていたことから、当時は47音+濁音20音にさらに20音の発音があり、合計で87音(あるいは”モ”を含めた88音)あったのではないかと考えられています。

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