櫻色の(後二條院御歌)

短歌 に関する記事

櫻色の 衣はうへに かふれども
心にはるを わすれぬものを 後二條院御歌

■ 訳

(衣替えで春に着ていた)桜色の衣は変わってしまっても、心には(平穏な)春(の頃)を忘れないのになぁ。

■ 解説

「櫻色(さくらいろ)」は桜の花のような色(一般にのような色合いです)、「うへ(上)」は表面上、「かふれども(替ふれども)」は替わっても(”ども”は逆接の確定)、をそれぞれ意味します。
衣替えを詠んだ詩ですが、葉桜となった桜の木を詠んだのかもしれません。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は風雅和歌集 第四巻(夏歌)に収録されています。
題に「百首の御歌の中に、更衣を」(後二条院御百首の中で衣替えを)とあります。

■ 豆知識

作者は後二条天皇(ごにじょうてんのう)で第94代天皇です。
大覚寺統で後宇多天皇(ごうだてんのう)の第一皇子で、後醍醐天皇(ごだいごてんのう)は異母兄弟に当たります。
23歳という若さで崩御されましたが、在位中多くの歌合を催しており、新後撰和歌集の撰進も行いました。

当時は南北朝分裂の過渡期にあり、持明院統(後の北朝)との衝突も多々ありました。
この詩の「かふれども 心にはるを わすれぬものを」の部分は、そういった表面上の争いと過去の平穏な時代を比喩した詩と深読みできなくもありません。

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