語られぬ(松尾芭蕉)

俳句 に関する記事

語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな 松尾芭蕉

■ 訳

(行者の法に従い)語ることができない(素晴らしい体験であった出羽三山)。
湯殿山まで下山して(素晴らしかったその体験談を言葉に出来ないことに)涙で袂を濡らしてしまう。

■ 解説

「湯殿(ゆどの)」は現在の山形県鶴岡市にある湯殿山(ゆどのさん)、「袂(たもと)」は和服の袖付けから下の袋状の部分、をそれぞれ意味します。
季語は「湯殿(詣で)」で夏です。

■ この詩が詠まれた背景

この句はおくのほそ道、「出羽三山(でわさんざん)」の中で芭蕉が詠んだ俳句で、前回の続きです。

「語られぬ」は奥の細道に「惣而此山中の微細、行者の法式として他言する事を禁ず。」と書かれてあり、この事であろうと考えられます。
「湯殿」で「ぬらす」と表現したのは、遊び心かもしれません。

■ 豆知識

作者は松尾芭蕉です。

”袂を濡らす”という表現は短歌でも詠まれる言葉です。
源定信が詠んだ「おとにだに 袂をぬらす 時雨かな…」でも「袂を濡らす」という表現が使われています。

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