新玉の(後嵯峨院御製)

短歌 に関する記事

新玉の としをかさねて かへつれど
猶ひとへなる 夏衣かな 後嵯峨院御製

■ 訳

年を取り(何もかも)変わってしまっても、なお、夏服は単衣なのだなあ。

■ 解説

「新玉の(あらたまの)」は”年”に掛る枕詞、「かへつれど(替えつれど)」は変わってしまっても(”つ”は助動詞:〜してしまう)、「ひとへ(単衣)」は1枚の薄い布、「夏衣(なつごろも)」は夏服、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は続拾遺和歌集 第三巻(夏歌)に収録されています。
題に「寳治二年百首の歌めしけるついでに、首夏の心を」(宝治二年に行われた宝治御百首でお召しになられた際ついでに、初夏の趣を)とあります。

■ 豆知識

作者は後嵯峨天皇(ごさがてんのう)で、第88代天皇です。

父である土御門天皇が土佐に流された影響で、自身の基盤も固まらないまま即位されたことや、北条氏と縁戚関係にあったこと、鎌倉幕府による朝廷掌握とそれに対する貴族の思惑などがあり、治天の君を定められず崩御されたことなどから、後の大乱の源となってしまいました。

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: