時鳥(衣笠内大臣)

短歌 に関する記事

時鳥 忍ぶ比とは 志りながら
いかにまたるゝ 初音なるらむ 衣笠内大臣

■ 訳

ホトトギスよ。
まだ人目を避ける時期だとは知っているけれど、(お前たちの)声が聞けるまで、どれほど待てばいいのだろうか。

■ 解説

「時鳥(ほととぎす)」はホトトギス、「忍ぶ比とは 志りながら(しのぶころとは しりながら)」は人目を避ける時期だと知っているけれど(”ながら”は逆接:〜だけれど)、「いかにまたるゝ(如何に待たるる)」はどれほど待てばいいのか、「初音(はつね)」はその季節に初めて鳴く声、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は続拾遺和歌集 第三巻(夏歌)に収録されています。
「題志らず」とあるため詳細は分かりません。

■ 豆知識

作者は衣笠家良(きぬがさいえよし)で、新三十六歌仙の一人です。
父は大納言を勤めた粟田口忠良(あわたぐちただよし)、祖父は近衞家の祖であり、摂政、関白を勤めた近衞基実(このえもとざね)です。

藤原定家の門弟で、歌人として秀でた才能を発揮しました。
その才能は勅撰和歌集の一つ、続古今和歌集の撰者の一人になっていることからも伺えます。

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