■ 解説
「折りかざし(をりかざし)」は手折って髪飾りにして、「飲みての後は(のみてのあとは)」は飲んだならばその後は(「て」は順接の仮定(〜ならば))、「散りぬともよし(ちりぬともよし)」は散ってしまっても良い、をそれぞれ意味します。
■ この詩が詠まれた背景
この詩は万葉集 第五巻(雜歌)821首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。
■ 豆知識
作者は満誓(まんぜい)で僧です。
俗名は笠麻呂(かさのまろ)で、養老五年五月十二日(721年6月9日)、元明上皇の病気の際に平癒の祈祷を行うために出家し僧となりました。
万葉集には、沙弥満誓(さみのまんぜい)、または満誓沙弥(まんぜいさみ)という名で記載されています。
満誓は出家前は国司として有能で、たびたび賞せられています。
木曽路を開通させたことでも知られており、和銅七年閏二月一日(714年3月24日)には封七十戸と田六町を賜っています。
大伴旅人の異母妹である大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)が、この詩を本歌取りしたと思われる詩を残しています。
「酒杯に 梅の花浮かべ 思ふどち 飲みての後は 散りぬともよし」(万葉集 第八巻 1656首目)
万葉集の左注によると、都では禁酒令が発布されており、親族二人までなら飲んでも良いというお触れが出たようで、その際に詠まれた詩とのことです。
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