我が園に(主人)

短歌 に関する記事

我が園に 梅の花散る ひさかたの
天より雪の 流れ来るかも 主人

■ 訳

庭園の梅の花が舞い散っている。
(まるで)天から雪が降ってきているようだ。

■ 解説

「ひさかたの(久方の)」は空に掛かる枕詞、「流れ来るかも(ながれくるかも)」は流れて来るかのようだ(「かも」は詠嘆)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)822首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は大伴旅人(おおとものたびと)で大納言であった大伴安麻呂(おおとものやすまろ)の長男で、自らも大納言となりました。
息子である大伴家持(おおとものやかもち)は万葉集の編纂に関わったとされ、「かささぎの 渡せる橋に おく霜の…」は小倉百人一首、六首目に選歌されています。

大伴氏は朝廷の中でも軍事に長けた役割を持った氏族に当たります。
同様の役割は物部氏にも当てはまりますが、物部氏が国軍的なものを扱うのに対して、大伴氏は親衛隊のような役割を担っていました。
長屋王と親しかった大伴旅人が、長屋王の変が起こる前年に大宰府に赴任していますが、これには藤原四兄弟による策謀があったのではないかと考える学者もいます。

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