梅の花(小令史田氏肥人)

短歌 に関する記事

梅の花 今盛りなり 百鳥の
声の恋しき 春来るらし 小令史田氏肥人

■ 訳

梅の花は今満開だ。
さまざまな鳥の鳴き声が恋しい春が来るに違いない。

■ 解説

「今盛りなり(いまさかりなり)」は今が最盛期だ、「百鳥(ももとり)」はいろいろな鳥、「春来るらし(はるくるらし)」は春が来るに違いない(「らし」は推定(きっと〜にちがいない))、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)834首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は田氏肥人(でんしのうまひと)です。
田氏は”たのうじ”とも、肥人は”こまひと”、”ひびと”とも読まれます。
本姓については「田口」、「田辺」、「太田」、「矢田」などが候補として挙げられていますが、他の資料が見つかっていないため分かっていません。

令史(れいし)とは四等官における最下級(主典(さかん))で、大宰府での主な仕事は、判決書の抄写することだったようです。

■ 関連地図

コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。


コメントを書く

お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: