春の野に(筑前目田氏真上)

短歌 に関する記事

春の野に 霧立ちわたり 降る雪と
人の見るまで 梅の花散る 筑前目田氏真上

■ 訳

春の野原に霞がたなびく中、散っていく梅の花は、まるで雪が降っているかと見まごうほどだ。

■ 解説

「人の見るまで(ひとのみるまで)」は人がそのように見てしまうほど(「まで」は〜なくらい)、を意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)839首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は田氏真上(でんしのまかみ(たのうじのまかみ))です。
田辺真上(たなべのまかみ)あるいは田中三上(たなかのみかみ)と同一人物であるという説もありますが、よく分かっていません。

田辺真上は正倉院文書である続々修に天平十七年十月(745年11月)頃、諸陵察大允従六位上であったことが記されています。
また、田中三上は天平四年(732年)頃、大宰少監だった人物で、天平十年(738年)には肥後守に任ぜられています。

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