春柳(壹岐目村氏彼方)

短歌 に関する記事

春柳 かづらに折りし 梅の花
誰れか浮かべし 酒坏の上に 壹岐目村氏彼方

■ 訳

梅の花を手折って髪飾りにし、どなたかは梅花を酒杯に浮かべておられる。

■ 解説

「春柳(はるやなぎ)」は「かづら」に掛かる枕詞、「浮かべし(うかべし)」は浮かべておられる(「し」は「す」(尊敬)の連用形)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)840首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は村氏彼方(むらじのおちかた(むらのうじのおちかた))です。
本姓として「村君」、「村国」、「村山」などの可能性が考えられていますが、詳細は分かっていません。

村氏彼方は壱岐国の目(さかん)ですので、以前紹介した板持安麻呂の部下であったことが分かります。
「君を思ふと 夜寐も寝なくに」と梅を擬人化して詠んだ上司に対して、部下である村氏彼方は「誰れか浮かべし 酒坏の上に」と写実的で対照的な印象を受けます。

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