鴬の(對馬目高氏老)

短歌 に関する記事

鴬の 音聞くなへに 梅の花
我家の園に 咲きて散る見ゆ 對馬目高氏老

■ 訳

鶯が鳴いたちょうどその時、庭園の梅の花が咲いて散る姿が目に映りました。

■ 解説

「音聞くなへに(おときくなへに)」は音を聞いたちょうどその時(「なへ」は〜するちょうどその時)、を意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)841首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は高氏老(かうしのおゆ(たかのうじのおゆ))です。
本姓は「高丘」、「高田」、「高橋」、「高向」、「高屋」、「高安」、「高」、「高麗」などの可能性が考えられています。

高氏老の役職名である「對馬」とは対馬のことです。
古事記の国生み神話にも登場していますが、魏志倭人伝にも對馬國、あるいは對海國という名で登場しています。
倭国に渡る際、「郡から倭に行くには、海岸線を船で進む。韓国を通り、南へ東へ進むとその北岸、狗邪韓國に着く。7000里余り(当時の魏の1里は434メートル位だそうです)」とあり、そこから「初めて海を1000里余り渡ると対馬国に至る」、とあります。
当時の対馬ですが、「(対馬国の)大官の名をヒコと言い、副官の名をヒナモリと言った。
絶海の孤島に住んでおり、(国の大きさは)およそ400里四方、土地は山が険しく森林が多い。
道路は(整備されておらず)獣道のようである。
1000棟余りの家があり、良く肥えた田は無く海産物を食べて生活している。
船に乗って南北に渡り、商売をして米を買っている」、と島の生活状況が記されています。

■ 関連地図

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