梅の花(土師氏御道)

短歌 に関する記事

梅の花 折りかざしつつ 諸人の
遊ぶを見れば 都しぞ思ふ 土師氏御道

■ 訳

梅の花を手折り髪飾りにしながら皆さんが宴に興じている姿を見ると、まるで(華やかな)都にいるように思います。

■ 解説

「諸人(もろひと)」はたくさんの人、「都しぞ思ふ(みやこしぞもふ)」は都だと思う(”し”は強意の副助詞、”ぞ”は強意の係助詞)、をそれぞれ意味します。
「しぞ思ふ」と強調しているのは、単に都から離れているからという意味だけでなく、隼人の反乱からまだそれほど時が経っていないことも原因かもしれません。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)843首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は土師水通(はじのみみち(土師御道とも書かれます))です。
万葉集にはこの詩の他に3首選歌されています。

万葉集 第四巻 (557〜558首目)には、船で上京する際に妻に逢いたい想いを詠んだ詩で、「たとえ岩にぶつかって転覆してでも急いで帰りたい」、だとか、「もし帰れないなら神様に捧げたお供え物返せ」、といったユーモアのある詩が詠まれています。
万葉集 第十六巻(3844〜3845首目)には、肌の黒い友人をからかった歌を詠んだところ、言い返された詩が残されています。

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