妹が家に(小野氏國堅)

短歌 に関する記事

妹が家に 雪かも降ると 見るまでに
ここだもまがふ 梅の花かも 小野氏國堅

■ 訳

妻の家に雪が降るのかと見えるほど、(梅の花が咲く)この場所に居てさえ(雪景色に)見誤ってしまうほどの(立派な)梅の花だなあ。

■ 解説

「妹が家に(いもがへに)」は妻の家に、「雪かも降ると(ゆきかもふると)」は雪でも降るのかなあと(「かも」は疑問の係助詞)、「ここだもまがふ(ここだも紛ふ)」はここでさえも区別できない、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)844首目に収録されています。
以前紹介した、大宰帥であった大伴旅人の屋敷で行われた宴会の席で詠まれた詩です。

■ 豆知識

作者は小野国堅(おののくにかた(国方、もしくは国賢とも書かれます))です。
正倉院には国堅が署名した文章が残されています。

国堅がこの詩を詠んだ頃はまだ無位でしたが、天平十一年(739年)には大初位となり、後に東大寺の写経所の令史となっており、順調に出世したようです。

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