世間を(山上憶良)

短歌 に関する記事

世間を 憂しとやさしと 思へども
飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば 山上憶良

■ 訳

この世を辛い、耐え難いと思うけれど、(この地から)飛び去ることはできません。
(私たちは)鳥ではないのですから。

■ 解説

「世間を(よのなかを)」は世の中を、「憂しとやさしと(うしと優しと)」は辛いと耐えがたいと、「飛び立ちかねつ(とびたちかねつ)」は飛び立てない(”つ”は完了の助動詞)、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第五巻(雜歌)893首目に収録されています。
前回紹介した、当時の役人と農民のやり取りを詠んだ詩です。
前回の反歌で、今回は農民の立場に立って詠んだ詩と思われます。

■ 豆知識

作者は山上憶良(やまのうえのおくら)です。
続日本紀には山於億良(やまのえのおくら)とも記されています。

山上憶良は類聚歌林(るいじゅうかりん)の作者、もしくは編纂者であったと考えられています。
類聚歌林は文武天皇の頃から、平安時代末期頃までは存在していたようですが、残念ながら現存していません。
万葉集には類聚歌林から採用された詩がいくつか載せられており、現存していれば万葉集に載せられなかった当時の状況を詠んだ詩を知ることができたかもしれません。

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