常世辺に(高橋虫麻呂)

短歌 に関する記事

常世辺に 住むべきものを 剣大刀
汝が心から おそやこの君 高橋虫麻呂

■ 訳

常世の国に住むことができたに違いないというのに、心底愚かなことだよ、水江の浦の嶋子は。

■ 解説

「剣大刀(つるぎたち)」は「汝(な)」に掛かる枕詞、「おそやこの君(鈍やこのきみ)」は愚かだよ君は、をそれぞれ意味します。

■ この詩が詠まれた背景

この詩は万葉集 第九巻(雑歌) 1741首目に収録されており、前回の反歌です。
この詩の最後の「君」は前回櫛箱を開けた「水江浦嶋子」を指します。

■ 豆知識

作者は高橋虫麻呂(たかはしのむしまろ)です。
他の資料が見つかっていないため、万葉集に書かれている内容以上のことは分かっていません。

高橋虫麻呂の上司に送った詩として、万葉集 第六巻 971首目には天平四年八月十七日(732年9月14日)に当時常陸守であった藤原四兄弟の一人である藤原宇合(ふじわらのうまかい)が西海道節度使として任ぜられたときに詠んだ詩が、第九巻 1753首目には検税使の大伴卿(名前は分かっていません)と筑波山に登山した時の詩が、1780首目には鹿嶋郡(かしまのこほり)の苅野(かるの)の橋(現在の茨城県神栖市)で大伴卿と別れた時の詩が、それぞれ残されています。

■ 関連地図

※ 丹後風土記では現在の京都府与謝郡伊根町周辺の話になります。

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