箱根馬子唄(よみ人しらず)

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箱根八里は 馬でも越すが
越すに越されぬ 大井川

箱根御番所に 矢倉沢なけりゃ
連れて逃げましょ お江戸まで

三島照る照る 小田原曇る
間の関所は 雨が降る

松になりたや 箱根の松に
諸国大名の 日除け松に

雲か山かと 眺めた峰も
今じゃわしらの 眠り床

箱根番所と 新井がなけりゃ
連れて行きましょ 上方へ

尾上高砂 千歳の松は
千代も変わらぬ 深緑 よみ人しらず

■ 訳

箱根の道は馬でも越せるけれど、大井川は橋も無く水かさが増すと渡ろうにも渡れない。
箱根の関所と矢倉沢の関所が無ければ、江戸まで(女性を)連れて逃げるところさ。
三島宿は晴れるが、小田原宿は曇っていて、その間にある(箱根の)関所じゃ雨降ってる。
松になりたいよ、箱根の松に。大名の日除け松になって(大名を上から見下ろしてやりたいぞ)。
あっちにゃ雲、あっちにゃ山と、興味深く眺めていた峰も、今となっちゃあっしらの布団代わりさ。
箱根の関所と新井の関所が無けりゃぁ、(女性を)連れて行くのに、京都まで。
尾上神社の高砂の松、若一王子神社の千歳の松は千年立っても変わらない深緑を湛えている。

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